2008年1月 9日
高画質DVD規格戦争の「漁夫の利」は?
CNET の記事に 『「勝者はBlu-rayでもHD DVDでもなく、ハードディスク」--シーゲイトCEOが発言』 という記事があった。 ハードディスク・メーカーとして有名な Seagate Technology の 最高経営責任者(CEO)であるBill Watkins氏に言わせると、 高画質DVD規格戦争の 最終的な勝者や ハードディスク になる、ということだ。この記事の中で、Watkins氏は、本当の争いは Blu-ray と HD DVD の争いではなく、 「物的流通 と 電子的配信」とでの争い である。といっている。 つまり、映像ソフトを DVD等のメディアとして販売するのか、 それとも オンラインで販売するのか、ということの方が重要だ、ということだ。
映像業界の今後を予測するために 一足先をゆく音楽業界を見てみる。 オーディオの世界では、数年前から 通常の音楽CD から より高音質の Super Audio CD (SACD) や DVD-Audio 等の メディアが進出してきたが、お世辞にも普及しているとは思えない。 確かに、高音質を求める音楽マニアには うけているかもしれないが、 一般人に受け入れられてはいない。 それよりも、現行のCD よりは 音質は多少悪い 圧縮フォーマット(MP3、WMA、AAC等)であっても オンラインで気楽にダウンロード(購入)できて、 iPodなどで 手軽に音楽を楽しめる方を選択している。
同様のことが 動画にも適応できると予想される。 つまり一般消費者は、 現行のDVDよりは、多少 画質が悪くても お手軽に ダウンロードできる「電子的配信」の方へ シフトしてゆくということだ。 そうなると、Watkins氏の指摘のとおり、 今後 より大容量のハードディスクが必要になってくる。
この調子だと、 しぎ(Blu-ray) と はまぐり(HD DVD) が争っている間に 漁夫(HDDメーカー) が利益を得てしてしまいそうだ。
【参考リンク】
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2008年1月 6日
高画質DVD規格はブルーレイに統一されるのか?
「コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)」を前にして、 今まで、HD DVD と Blu-ray Disc の 両規格の対応ディスクを販売してきた ワーナーブラザーズ(Warner Bros. Entertainment) が この6月から Blu-ray Disc のみの対応となるらしい。 長らく主権争いをしてきた高画質DVD規格も これで一気に勝敗がつくのだろうか?家電業界には、 ビデオ規格の「VHS」と「β」 をはじめ、 DVDの書き込み規格「DVD+」と「DVD-」 等、 規格がなかなか統一されず、主導権争いを行ってきた 規格が沢山ある。 規格を作って普及させる側は、それはそれで大変だろうけれど、 消費者にとってみると、これこそ「いい迷惑」である。
DVDの書き込み規格は 結局統一されることなく、 現在でも「DVD+」と「DVD-」が共存している。 ドライブやプレーヤー等のハードウェアの方は ほとんど両方の規格に対応したので1台で事足りるが、 結局メディアに関しては、「DVD+」と「DVD-」の両方が 市場に出回っている状態だ。 これに加えて、それぞれに 追記型の「R」と 繰り返し記録型の「RW」、 さらに 二層方式の「DL」があったりと非常に複雑。
さて 米映画会社としてDVDの売上で高いシェアをもつ ワーナーブラザーズ(Warner Bros. Entertainment) の 今回の決定で 高画質DVD規格も「VHS」と「β」のように 最終的には一本化となるのか、 はたまた、DVDの書き込み規格のように、 HD DVD と Blu-ray Disc の2つの規格が共に生き残り 共存することになるのか? どちらにしても、我が家では今のところ 従来の DVDプレーヤーで 何の不自由もないので、HD DVD と Blu-ray Disc の主権争いの決着がつくまでは 高画質DVDプレーヤーを購入することはないであろう。 私がこのように感じると言うことは、 大半の一般消費者も、よっぽどの新し物好きでなければ、 同様に考えていると思われる。
【参考リンク】
- CNET Japan 『ワーナーブラザーズがHD DVD陣営から離脱、東芝は「それでもHD DVDで戦う」』
- 日本経済新聞「米ワーナー、ブルーレイに一本化・DVD規格争い、早期決着も」
- CNN「ワーナー、ブルーレイに一本化へ 高画質DVD規格」
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2007年8月 3日
ATSC(Advanced Television Systems Committee)
テレビやチューナー機能付きのDVDレコーダ等のカタログをみていると、 「ATSC」という記述に遭遇する。 これは一体なんなのか?ではまず、いつものごとく ウィキペディアから調べてみると
ATSC(Advanced Television Systems Committee)とは アメリカで開発された地上波におけるデジタルテレビ規格、 またはその規格の制定などを行う組織の名称である。 カナダ、メキシコ、大韓民国、台湾で採用されており、 他の地域でも採用が検討されているが、 ほとんどの地域で採用されているのはヨーロッパ規格のDVBである 。とある。
アメリカでは普及を進めるために36型以上のテレビは2004年までに、 25型以上のテレビは2006年3月1日(当初7月1日から前倒し)までに、 2007年7月1日(2006年12月31日へ変更提案あり)までに 全てのテレビとテレビ受信機能のある機器への チューナ内蔵義務化を行う。
また、IT用語辞典バイナリ の 「ATSC」 ページでは
ATSCとは、米国におけるデジタルテレビ放送の標準規格のことである。 または、その規格の策定などを目的として1982年に結成された非営利団体の名称である。とある。 この説明によると、 従来のアナログ(NTSC)と同じ 周波数帯域幅となっているようだ。 ちなみに公式サイトは、 「www.atsc.org」 となっている。
ATSC規格は、米国(および日本など)の アナログ放送規格として採用されていた NTSC(National Television System Committee)の 規格に代わるデジタル放送規格として策定された。 映像の圧縮方式としてMPEG-2を採用しており、 音声圧縮方式にAC-3(ドルビーサラウンド)方式を採用している。 放送波は6MHzの周波数帯域を使用する地上波で、 最大で10.08Mbit/sとDVDの再生ビットレート並みの 伝送効率を実現することが可能であるとされている。
ATSC規格は米国をはじめカナダやメキシコ、韓国などで採用されている。 ちなみに日本では地上デジタル放送の規格としてISDB-Tが採用されている。
【参考リンク】
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2007年4月26日
日本のFMラジオで シリコンバレーでは何が聞こえるのか?
昨日のブログ 「日本のFMラジオはアメリカで使えるのか?」 で 日本仕様のFMラジオが 最近販売されている テレビの 1ch 〜 3ch に対応しているラジオであれば 76MHz 〜 108MHz の範囲が受信可能で、 アメリカのFMラジオバンドである 88MHz 〜 108MHz を全てをカバーしていることになり 問題なく使えることがわかった。 では、アメリカで 上記の日本のラジオを使った場合、 周波数的に重なっていない 76MHz 〜 88MHz の範囲では いったい何が聞こえるのであろうか?前回も参考にさせていただいた ARRLの 「TV Channel, CATV and FM Broadcast Frequencies」 や 「FCC Frequency Allocations」 の表を見てみると、 アメリカでの 周波数 76MHz 〜 88MHz の範囲は テレビ地上波の 5ch, 6ch に割り当てられていることがわかる。
もう少し詳しく 「TV Channel, CATV and FM Broadcast Frequencies」 の解説を読んでみると、 テレビの 1ch の 帯域幅は 6 MHz であり、 そのうち音声は 帯域幅 6 MHz のうち、 下から 5.75MHz のところに載っている と説明されている。
ここシリコンバレー(Silicon Valley)では、 テレビの 5ch が KPIX になっている。 周波数的には 5ch は 表からすると 76MHz 〜 82MHz の 6MHz のバンド幅であり、 そのうち音声は、76.00 + 5.75 = 81.75MHz となっていることになる。
では実際に試してみよう。 日本から持ってきたFMラジオの周波数を 81.75MHz に合わせてみる。 すると 確かにテレビの チャンネル5の音声を聞くことができる。
【参考リンク】
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2007年4月25日
日本のFMラジオはアメリカで使えるのか?
日本とアメリカの間で行き来していたり、 引越ししたりしていると 現行の家電製品は使えるのか、 という疑問が湧いてくる。 そこで今回は、FMラジオについて、 「日本のFMラジオはアメリカで使えるのか?」 反対に 「アメリカのFMラジオは日本で使えるのか?」 という疑問について、日本とアメリカの 両国の電波の周波数の観点から調査してみる。結論から言うと、FMラジオに関して言うと、 日本とアメリカとでは周波数バンドが微妙に異なっている。 では どう微妙に異なっているのか具体的にみてみよう。
まず、日本のFMラジオ放送用の周波数は、 総務省の 「電波利用ホームページ」周波数の割当て・公開 にある 30MHz〜335.4MHz のpdfの図を見てみると 76MHz 〜 90MHz となっている。 ちなみに 日本の現行のアナログのテレビの 1ch 〜 3ch は 90MHz 〜 108MHz となっている。
ちょっと 話が脱線するが、 現在のアナログのテレビチャンネルでは 1つのチャンネルの中で映像と音声が別々に電波に載せられている。 そして 音声は FM変調という FM放送と同じ方式で音声を電波に載せている。 と言うことは、テレビの 1ch 〜 3ch の音声がFM放送と同じ方式で、 かつ、周波数も FM放送の周波数のバンドと隣り合っているのであれば、 FMラジオをチョット改造して すこしだけ高い周波数を受信できるようにすると テレビの音も簡単に聞けそうなものである。 素人でもそう考えるわけだから、もちろん、ラジオのメーカーさんもそれは考えている。 だから最近、日本国内で販売されている ほとんどのFMラジオでは テレビの 1ch 〜 3ch も受信できる機能がついてきている。 つまり周波数でいうと、76MHz 〜 108MHz までが 受信可能となっている。
もうひとつオマケで、 では、テレビの4ch以上のチャンネルはどうか、というと、 上記の総務省の電波利用ホームページの 30MHz〜335.4MHz の図によると、 テレビの 4ch〜12ch の周波数は 170Mhz〜222MHz となっている。 3ch と 4ch は たかが1チャンネルの違いではあるのだが、 周波数的に言うと 不連続であり、かつ 非常に離れている。 だから、日本のラジオでも テレビの 4ch〜12ch が受信できるものは少ないし、 もし その機能がついていたとしても 通常のFM放送の周波数バンドとは 完全に別の周波数バンドとなるので、 その分ラジオ本体の値段が高くなってしまう。
では、アメリカのFM放送の周波数バンドは、というと、 ARRLの 「TV Channel, CATV and FM Broadcast Frequencies」 や 「FCC Frequency Allocations」 の表を参考にすると、 88MHz 〜 108MHz となっている。
結論としては、 アメリカと日本のFMラジオ・バンドの周波数で 実際に重なっているのは 88MHz 〜 90MHz までの 2MHzである。 しかしながら、最近、日本で販売されている テレビの 1ch 〜 3ch まで対応しているFMラジオであれば、 76MHz 〜 108MHz の範囲が受信可能なので、アメリカのFMバンドである 88MHz 〜 108MHz を全てをカバーしていることになり、 問題なく利用できる。 反対に、アメリカ仕様のFMラジオでは、76MHz 〜 88MHz の 12MHzが受信不可能となってしまう。
【参考リンク】
- 総務省「電波利用ホームページ」周波数の割当て・公開
- 総務省「電波利用ホームページ」30MHz〜335.4MHz
- ARRL「TV Channel, CATV and FM Broadcast Frequencies」
- 「FCC Frequency Allocations」
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2007年1月10日
スタンフォード大学 Bio-X の AVシステム
JUNBAのシンポジウム開催を準備するにあたり、 スタンフォード大学(Stanford University)の Bio-X の講堂の AVシステムについて調査させていただいたので、 ここで、その調査結果を記録として残しておく。ステージ側の床に 左・右、中央 と3つのAV-BOX が埋め込まれており、 ディフォルトでは、BOX3 の上に ポディウム(演壇)が設定されている。
このホールの オーディオ、ビデオ、ライティング に ついての全ての操作は、この演壇上に設置されている 液晶ディスプレーのタッチパネルから操作できる。 これは、 Crestron Electronics, Inc. の システムを採用している。
タッチパネルの基本的な構成は 左側に 各項目を表すボタンがあるので、 そのうちの一つを選択すると、 画面中央が その項目の詳細設定画面に切り替わる。
プロジェクターについては、 観客席上の天井から3機ぶら下がっている。 センターのプロジェクターを利用すると、 画面が大スクリーン全体に映し出される。 また、センターのプロジェクターを消し、 左右のプロジェクターを利用すると 違う画面を左右に2つ並べて表示することができる。
プロジェクターの電源については それ専用の項目選択ボタンがタッチパネル画面 左にあるので、 それを選んでから電源のオン・オフう行う。
コンピュータからの VGA信号に対し、 各ボックスに 入力端子が2系統ある。 通常は、演壇がBOX3 にあることから、 ビデオ用のケーブルは BOX3 の VGA1 に接続されている。 これを選択するために、 項目選択ボタンに 「BOX1」「BOX2」「BOX3」とある中から、 「BOX3」を選択し、その詳細画面から VGA1を選択する。 ここが少しトリッキーなのだが、このままでは画面が表示されない。 この後、画面上部にある プロジェクター選択ボタンを押して 選ばれたVGA入力を どのプロジェクターに映し出すかを指定する 操作をしなければならい。 もちろん、この操作の前に、前述のように 該当するプロジェクターに電源を入れる操作も しておかなければならないが。
マイクについては XLR端子が各ボックスに2つずつついているので、 合計6本のマイクがつけられることになるが、 タッチパネル上には マイク用のボリュームコントロールが一つしかないので、 個別にミキシング・レベルを調整することはできない。 ただし、ミュート・ボタンは別に設けられているので、 一時的に、すべてのマイクの入力をミュートすることができる。 通常は、BOX3のマイク入力に 演台備え付けのマイクが1本 接続されている。
照明は、4種類の設定が既に事前登録されており、 その中から選択することになる。 4種類の登録されているパターンは
- ステージ + 客席 の ホール全体を明るくする
- 客席のみ明るくする
- ホール全体を暗くする(映画館のような雰囲気)
- 前面(ステージ)のみ 明るくする
【参考リンク】
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