最近、JTPAではサロンと称した少人数でのセミナーというか談話というか、
4〜5名の方にお集まりいただき打ち解けた雰囲気で、中身の濃いイベントを企画している。
その意味では、第一弾は、
7月14日に行われた村山さんによる「
レジュメワークショップ」だったともいえるのだが、
この「〜〜氏と語る会」形式は、今日が第一回目である。
その第一回目にご登場いただいたのは梅田さん、
題して「
梅田望夫氏と語る会」である。
参加者は、定員5名のところ、
残念ながら1名の方は体調不良のため欠席されたので
結局4名の方のご出席となった。
その他JTPAスタッフとして、
セミナー企画担当の晶子さん、
おにぎり担当の由美さん、そして私が参加させていただいた。
会の始めとして、まず、参加者・スタッフ全員持ち回りで簡単に自己紹介を行った。
今日参加の4名は、
大手計測器メーカのエンジニア、SI業者駐在エンジニア、
日系大手通信機会社のマーケット・リサーチャー、
それからベンチャー会社のエンジニアといったところで、
4名ともIT技術者の方々であった。
その後の会の進め方としては、
参加者各自が語り合いたいトピックについて説明し、
それについて梅田さんがコメントをする。
その後、それを基にしてみんなで意見を述べ合う、
といった形式。
では、順番にそのトピックについてレポートしてみよう。
まず第一のトピックは、キャリアパスについて。
「エンジニアを続けるか、マネージメントに移るか?」というご相談。
この問題にここで結論が出るはずがないわけだが、梅田さんのご意見としては、
「エンジニアとは、No.1 を目指すもの、マネージメントは Only One を目指すもの」
と言う考えかた。
また、別の意見としては、
マネージメントでも、古い体質の会社のマネージメントと
ベンチャーのような新しい会社でのマネージメントでは
仕事の内容に違いがあるのではないか、ということ。
その他、アメリカでの経験をもつ日本人であることを
最大限に利用して考えたほうがよいのではないか、という意見もあった。
次は、「日本のアメリカ離れ」について。
最近、日本のアメリカ離れが進んでいるのではないかという視点。
IT産業だけに絞ってみても、携帯電話やInternetインフラについては、
圧倒的に日本の方が進んでしまったし、ソフトウェアなどにしても
インターナショナライゼーションされたソフトが
全世界同時に発売されるなど、
以前の様にアメリカで流行りのソフトを日本語化して一儲け、
なんてことは出来ない時代になってしまった。
その結果、日本のアメリカ・ワッチャーの熱が冷めてしまったように感じ取れる。
それから議論がいろいろ展開した結果、
梅田さんによると、Entrepreneurship とは通常「起業家精神」と訳されるが、
これは適切は訳ではない、というご意見が出た。
つまり、Entrepreneurship とは、起業することだけではなく、
例えば、大企業のなかでも、新しいことに挑戦することを
Entrepreneurship と呼ぶ、ということ。
確かに、英英辞典で「Entrepreneurship」を調べてみると
「risk-takin businessperson」
とある。
その次のトピックは、「シリコンバレーに次のシスコは在り得るか?」
梅田さんのご意見は「基本的にない」
理由は、アメリカは、進歩が止まった分野には、人・物・金を投資しなくなるから。
例えば、自動車産業で、現在のビッグ3を上回る会社がアメリカ国内から生まれる可能性はほとんどない。
シスコを含む通信機器分野の成熟度を自動車産業と同じと考えるのに若干問題があるかもしれないが、
シスコを越えるアメリカ発の通信機器会社が誕生する可能性は非常に低い。
最後のトピックは、「今後のインターネットと人について」
これについては、インターネットの前と後の時代について考えてみる。
インターネットの前の時代は、一握りのメディアの人間による情報発信しかなかった。
しかし、現在は誰もが情報発信者になれる時代である。
これを梅田さんは「総表現社会」と表現された。
その結果、世界中の「知」がサイバースペースに集約されてしまい、
逆にその「知」の金銭的価値は限りなくゼロに収束されて行く。
では、どこにビジネス・チャンスがあるかというと、
その集結された「知」と、50億人を繋ぐところに新たなビジネスがあるのではないか
(それを既にやっているのがGoogleであるわけだが)。
ということで、将来的には、映画「マトリックス」のような世界が現実になるのではないか、
というのが梅田さんのご意見であった。
それでは皆さん、帰ってから、もう一度「マトリックス」を見てみましょう、
というのが、今日の「梅田望夫氏と語る会」の結論となった。
追伸
この会に関する
梅田さんのブログ、
由美さんのブログ
も既にアップされています。
カテゴリー:
JTPA
2005年9月 2日 23:11
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9月2日、「梅田望夫と語る会」に参加してきた。僕が梅田さんを初めて知ったのは「フォーサイト」の連載の「シリコンバレーからの手紙」である。CNET Japan の... [続きを読む]
トラックバック時刻: 2005年9月 5日 00:01
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トラックバック時刻: 2005年9月 6日 21:06
「総表現社会」を含め、なるほどと思いました。私も「マトリックス」を観た時、これ「実現するかも!」と思いました。四元さん、レポート有難うございます!
投稿者 Miki : 2005年9月 3日 18:22
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